2018年09月

こんにちは。瀬谷インターナショナルの土肥です。

最近、SIF(瀬谷インターナショナル)では試合結果やレギュラー争いの中で激しく落ち込んだり一喜一憂する選手が気になりました。良い時はいいのですが問題は悪い時です。落ち込むことや、野心が消えてしまうことはマイナスしか生み出さないですよね。

そんなとき私はいつも選手に『見た目の力』と『本当の力』という話をします。

今回は「見た目の力に騙されない」ことの重要性について書いていきたいと思います。


♦︎「見た目の力」は運や環境によって日々変動する

私はよく選手達に『見た目の力』と『本当の力』について話をします。

「ハットトリックをした」「スタメンだった」「試合に勝った」こんなときは気持ちも上向きます。逆に「試合に出れなかった」「自分のミスで負けた」というときは気持ちも落ち込み、自分の可能性を信じられなくなったりしますよね。

でも、今日の試合でゴールを決めようが自分のミスで負けようが自分の実力って変わらないですよね。人はたった1試合で上手くなったり下手になったりしません。

なのにその結果だけをみて多くの選手は一喜一憂し、その後の行動を変えてしまいます。

これらは全て「見た目の力」に騙され一喜一憂していると言えます。

私の言う『見た目の力』とは「運」や「環境」の要因が含まれているその時々の選手のパフォーマンスや結果のことを指します


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♦︎『見た目の力』に騙される人は諦める(辞める)きっかけが人生に数多く訪れる

『見た目の力』は運の要素で大きく変動し、全ての人に良い状態も悪い状態も日々訪れます。つまり見た目の力に騙され一喜一憂してしまう人は日々諦める(辞める)きっかけが頻繁に訪れ、遅かれ早かれどこかのタイミングで諦めて努力することをやめてしまうのです。

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♦︎『本当の力』は簡単には変わらない

逆に『本当の力』とは運や環境によって(あまり)変動することがない選手の力です。例えば練習をして「キックが飛ぶようになった」、「リフティングが100回できるようになった」「筋トレを継続してパワーアップした」などは本当の力が向上したと言えるでしょう。試合に負けてもスタメンを外れても『本当の力』は短時間で大きく変動することはありません。

「見た目の力」と「本当の力」の変動FullSizeRender

グラフは『見た目の力』と『本当の力』の変動を示しています。見た目の力は大きく変動しますが、『本当の力』は簡単には変動しません。


♦︎やるべきことは変わらない。

今やるべきことは今日の試合に勝とうが負けようが、変わらないのです。試合前に左足のキックが課題だった選手は試合結果に関係なく左足のキックを練習すべきなのは変わらないはずです。多くの選手が『見た目の力』の変動によってやる気や行動が変わってきてしまいますが、本当にやるべきことは『見た目の力』にかかわらず変わらないはずです。

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負けた試合後に腕立て伏せを行うこの男。この男のやるべきことは変わらない。




♦︎大切なことは『本当の力』を1日一歩進めること。

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大切なことは『見た目の力』に一喜一憂せず『本当の力』を1日一歩進めることです。例えば試合に出れずに落胆している日も試合後にリフティングの練習をしたり、家で筋トレをしてみたり。ブレずに毎日一歩進んでいける選手は『本当の力』を積み上げることができます。それができる選手にとっては他の選手との差をつける(差を埋める)ことは難しいことではないのです。なぜなら多くの選手()が『見た目の力』に一喜一憂し1日一歩進めることを継続できないからです。1日一歩、10日で10歩、1年で365歩積み上げられる選手()はいつか必ず高いところに到達することができるのです。



♦︎子供達には『見た目の力』に左右されず1日一歩進めることを教えたい。サッカーでそれを学んだ選手達は社会に出ても同じことができる。

指導している彼らはまだ中学生です。『見た目の力』に一喜一憂し、努力ができなくなったり希望を持てなくなったりします。そんなときにいつもこの話をしてブレずに1日一歩進むことを伝えています。そして『本当の力』をジリジリと蓄え、気づいたら大きな成長を遂げているという体験をしてほしいと思っています。その体験はこの先様々な困難を乗り越える知恵となり社会に出ても一喜一憂せず1日一歩『本当の力を』を積み重ねられる人を作ると思っています。そしてそれができる人はどの世界でも必ず高いところに到達できると私は考えています


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こんにちは。瀬谷インターナショナルの土肥です。

SIF(瀬谷インターナショナル)では「こいつに何かやばい才能はないか。。」と、選手をよく観察し、それぞれ持った才能を見つけ出すことを常に心がけています。

今回は「才能を見つけ出す」ということについて書いていきたいと思います。


♦︎「何一つ才能がない」と言い切れることがおかしい

1人の選手を見たときにその選手がサッカーの全てにおいて才能がないと言い切れるでしょうか。

選手の性格、体の形、筋肉の特性。。みんなそれぞれ違うものを持っています。

そしてその違いは必ず何かしらの優れた特性を生み出しています。

「足が速い」「強いシュートが打てる」といった能力は誰が見てもわかる非常にわかりやすいその選手が持った才能です。指導者にとって誰が見てもわかる特性ではなく、隠れている(見えにくい)才能を見つけ出すことが重要な仕事の1つではないでしょうか。


♦︎小さな違いも見逃さない。観察することが全ての始まり。

選手の特性を見つけ出すために必要なことはとにかく観察することです。体重の掛け方、柔軟性、関節可動域、性格、生活。。全てのほんの小さな違いがその選手にしかない特性を生み出します。そして特性の要因となるものは多すぎて全てを見つけ出すことは不可能です。だからこそ指導者は全てを見つけ出すことを目標に日々の観察を怠ってはいけないと私は考えています。


小さな違いがどの様にサッカーにおける才能となるのか。SIF選手を例に紹介していきたいと思います。


♦︎目の力は選ばれた才能
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チームで最もワンタッチプレーが正確なこの男は卓球、バッティングも得意だと豪語する。目の力(動体視力)が優れているという才能が備わっている可能性が高い。爆発的なスピードは持ち合わせていないが、前線で縦パスを受けることができるポジションで起用することでそのダイレクトプレーは輝きを放つ。


♦︎背伸び(つま先立ち)でプレーする奇妙な癖は特別な才能

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無意識で常にかかとを浮かし(背伸びした状態で)プレーするこの男。運動時にアキレス腱に負担をかけ続けるため異常に硬いアキレス腱を持っている。硬いアキレス腱はジャンプやダッシュ時に強いバネとなり爆発的な瞬発力を生み出す。陸上の短距離や走り高跳びなどでは硬いアキレス腱は非常に有利とされる。彼の場合、かかとを着けずにプレーするため、人生のほぼ全ての時間アキレス腱のトレーニングをしていたと言っても過言ではない。無意識でカカトを浮かしてプレーしてきた奇妙な癖が硬いアキレス健という才能をもたらしている。
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スパイクはいつもつま先しか削れない。   異常発達したふくらはぎ。




♦︎苦しいことから逃げない性格は全てを可能にする才能だ

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現在2年生の彼は入団時は技術的にも身体的にも平均を下回る選手だった。しかし彼は苦しいことから逃げない才能をもっていた。試合中は走り続けられる。厳しいフィジカルトレーニングは限界まで追い込める。

入団から1年半。磨き上げた運動量とヘディングを生かし小学生時代レギュラーとは無縁だった男が守備的なMFとして不動の地位を築き始めている。例え、小学年代でレギュラーでなかったとしてもまじめに努力できる性格は様々なことを可能にする突出した才能と言える。


♦︎他のスポーツをしていたという才能

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相手の動きを観察する能力を持ち合わせるこの2人。2人の共通点は長年空手をやっていたということ。空手経験のある選手は明らかに相手の状態を観察する癖を持ち合わせている。相手DFを背負って(接近状態で)ボールを受けるポジションで違いを生み出す。他のスポーツを行っていたことがサッカーにおいて特別な能力となっている。


♦︎足首が異常に柔らかいという才能
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可動域が大きいこの男の足首はどんな体勢でも地面への接地面積が人より大きい。その広い設置面積が自由自在な方向転換を可能にする。入団時26kgというチーム史上最軽量(とにかく小さかった)だったこの男。パワーとスピードには欠けるが自慢の方向転換を磨き上げ中学3年時にはチームの核となる活躍を見せた。


動画は足首の可動域がもたらす曲線的動き。50m走ではAよりBが、曲線的動きではBよりAが速い。なぜそんなことが起こるのか。SIFでは様々なデータと観察を駆使し才能の要因を突き止める。


どうでしょうか。


本当に小さな習慣や性格、体の特徴がサッカーにおいて大きな武器と成り得るのです。

現在40数名の選手がジュニアユースに所属していますが、特別な才能を持っていなかった選手は1人もいません。


♦︎サッカーは一つの武器を磨き続くことで天才と呼ばれる選手達に応戦できる。だからこそ才能を見つけ出すことは指導者の重要な仕事

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サッカーは1つの突出した能力があれば十分高いレベルで戦うことができます

私は7年間海外でプレーしてきましたが、海外では一見才能に恵まれていないように見える選手達(スピードがなかったり技術的に低かったり)が一つの武器を磨き上げプロとして活躍しているのを沢山見てきました。

サッカーでは長所を磨き続けることでスピード、パワー、テクニックなど全てを兼ね備えているように見える天才と呼ばれる選手達と対等な勝負をすることができるのです。

だからこそこれからもSIFでは選手の才能を見つけ出すために観察、コミュニケーションを続け、隠れた才能を見つけ出すことに努めていきたいと思っています。
「隠れた才能をみつけること」それが指導者の重要な仕事ではないかと私は考えています。



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